ABOUTグラスアート藍について
琉球ガラスは、沖縄の文化や自然に根差した伝統工芸のひとつです。
先人が築いてきた歴史に感謝し、その製法を大切に継承しながら、
グラスアート藍は、これまでにない新鮮なデザイン、斬新な素材感、美しいフォルムを生み出し、
すぐれた芸術性と機能性を併せ持つ作品づくりを目指しています。
そんな私たちの重要なテーマが、「透明な沖縄の景色を、ガラスに写し取る」ことです。
透明な沖縄の風景を、
ガラスに写し取る。
グラスアート藍を代表する作品“LAGOON”は、慶良間の海の美しい珊瑚礁がモチーフで、「沖縄の海をまるごと持ち帰っていただこう」と作りました。白い砂から続き、だんだん深くなっていく珊瑚の海を、グラデーションで表現しています。
2018年に制作し、県知事賞を受賞した“ISHIGAKI”は、今帰仁城跡の石垣です。沖縄の石垣は独特で、その力強く自由な造形を表現しようと、黒、白、透明の造形が重なり合う立体的な美しさを創り出しました。
「これらの作品を見て、沖縄を思い出してもらう」ことはもちろんですが、まだ沖縄に来たことのない方がグラスアート藍の作品を見て、「このガラスに写し出された沖縄は、どんなところなんだろう?行ってみたい!」となるようなものを作りたい。本当の沖縄を伝える、本物の琉球ガラスでありたいと思っています。
やんばるの森の工房から
『ai』を込めて。
グラスアート藍の工房は、やんばるの森の麓にあります。
沖縄はエネルギーに満ちた島で、島全体がパワースポットのように感じられます。その心臓とも言えるのが、「やんばる」です。沖縄の海がきれいなのも、やんばるの深い森があるから。だから私たちは、ここで制作しているのだと思います。沖縄の自然が持つ膨大なエネルギーを感じながら、沖縄の自然をガラスに写しとる。グラスアート藍の工房は、それができる最適な場所だと思っています。
私たちはまず、インスピレーションを受けた沖縄の景色をもとに、完成形のイメージを明確に作り上げます。何度も試作品をつくりながら、チームみんなで意見を出し合い、素材、フォルム、色、デザインなど試行錯誤を繰り返して、そのイメージに近づけていきます。
沖縄の自然を写し取った器が、世界のあちこちで人の目に触れて、「沖縄に行ってみたい!」と思ってもらえるように。それは、「琉球ガラス」という沖縄の歴史に育ててもらったグラスアート藍の、沖縄への恩返しでもあります。
グラスアート藍の
成り立ち
グラスアート藍は、私・寿紗代が、母・理津子と二人三脚で立ち上げた工房です。残念ながら、母は2016年に乳がんで亡くなりましたが、ビジネスパートナーであり、戦友であり、姉妹のような関係でもありました。新作は真っ先に母に見せ、「いいね」と言ってくれたものだけを商品化。母は「グラスアート藍」の一番のファンであり、私も、新作を創る一番のモチベーションは母の笑顔でした。
実は、私は沖縄出身ではなく、沖縄に初めて来たのは高校の修学旅行のときです。沖縄が持っているエネルギーに共鳴したのか、「あ、何かここ違う」と感じたのを覚えています。大学の卒業旅行でも沖縄を選び、3回目には母を連れて来ました。当時はまだ移住ブームなどなかったのですが、「好きだから住みたい」という単純な思いで、母とふたり、沖縄に移住しました。
沖縄では、縁あって琉球ガラスの工房で働くことになったのですが、その頃から「どうして琉球ガラスは原色ばかりなのだろう」という疑問がありました。沖縄の風景はもっと透明で、海は底の白砂が透けて見える。なのに、琉球ガラスは中に入れた水の色が何色かもわからないものばかり。自分がやるなら、沖縄の透明感のある風景や自然を、ガラスに写し取りたい。そう思っていました。
その後、フリーになって家でアクセサリーを作っていたのですが、やっぱり自分なりの琉球ガラスが作りたい、という思いが強くありました。そんなとき、母が窯を買ってくれたのです。1998年、私たちは糸満市大度にあるレストランの倉庫を借り、沖縄の澄み切った海・空・自然を表現する、これまでにない琉球ガラスを作り始めました。「グラスアート藍」の誕生です。
最初に作ったのは、透明なガラスにサトウキビ畑に咲く小さな花を描いた「小花グラス」。商品を持ってガラスショップを訪ねたとき、「こんな琉球ガラスを待っていました!」と第一声をもらったときの嬉しさは今でも忘れられません。これが、グラスアート藍の最初のヒット作となりました。
スタッフが加わった後も、師匠と弟子という関係ではなく、グラスアート藍は家族のようなチームになっていきました。毎週日曜日には全員のお弁当をつくってくれるなど、母は常に、このチームのムードメーカーでした。グラスアート藍の工房には、そんな母の想いが、今なお生き続けていると思っています。
グラスアート藍の「ai」には、こんな想いが込められています。
「藍」は、沖縄
グラスアート藍の作品のモチーフの多くは、沖縄の海、空、草花などの風物や、そこに宿る自然の色合い。沖縄の自然を代表する海の色「藍」の文字を社名に冠した理由がここにあります。
「愛」は、地元への愛
やんばるの森に抱かれた名護市内の工房を活動拠点に、この地での「ものづくり」にこだわり、ガラスを通じて沖縄の精神と文化を表現しています。
「I」は、自分らしいこだわり
他にはどこにもない、ここでしか出逢えないもの。大量生産するのではなく、けっして妥協せず一点ずつ制作者自身の手で作ったもの。そんな自分らしい姿勢を守り続けています。
「EYE」は、独自の視線
個性と魅力を見極めるアーティストとしての眼、使いやすさを見つめる生活者としてのまなざし、細心の注意を払って品質を見届ける職人としての視点を大切にしています。
「アイ」は、進取の精神
五十音の最初の二文字である「アイ」には、沖縄伝統工芸である琉球ガラスに常に新風を吹き込む先駆者でありたいと願う、フロンティア・スピリットが込められています。